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輩たちの座談会

清泉女子大学の学生たちは、なにと向き合い、なにを学んでいるのだろう。
地球市民学科教授の山本達也が、5つの学科それぞれに在籍する5名の学生と語り合いました。
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向き合うとわかりますか?

【Vol.2】
文学部のフィールドワークって、どんなもの?

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- 山本教授
どの学科も日常的な学びはキャンパスでの授業が中心だとは思うけど、それ以外にフィールドワークみたいなものにはみなさん行っていますか?
- 川口さん
日文の人は文学館によく行きますね。博物館や美術館にも行きますし、歌舞伎とか芸術鑑賞も行きます。研究室の前にパンフレットが置いてあって、学校がいろいろサポートしてくれるんですよね。日本近代文学館も無料なので、みんなそれを利用して行っています。
- 中西さん 
英文の場合は、やはり語学研修が多いです。留学したいと思ったら行かれる環境にあるので。1年間行く人もいれば、夏休みの期間を利用して1カ月だけ語学研修に行く人もいます。あと、フィールドワークではないかもしれないですけど、授業で映画を見ることは多いですね。
- 山本教授 
先ほど話に出ていた英語劇もあるし。
- 中西さん 
英語劇は1 年生の必修ですね。自分たちで台本をつくって、自分たちで演じる芝居です。私は、英語で台本を書きました。みんな最初は乗り気ではないんですけど、やっていくにつれて衣装にこだわりはじめたり夢中になってくるんですよね。そこで何かを見つけた人が、学年が上がったとき演劇演習の授業をとったりするんです。
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- 山本教授 
上級生の演劇演習の授業では、かなり本格的な芝居をやってますね。
- 中西さん 
お昼休みにも練習したり、放課後もキャンパスに残って舞台を作ったり。みんなでお揃いのシャツを着たりとか。先生とも距離が近くて、いろいろ議論しながらワイワイやっていますね。外から見ていても楽しそうだなっていうのがわかります。
- 川口さん 
舞台のセットをやってる子もいますよね。
- 中西さん 
表舞台に立つのが恥ずかしいという人でも裏方で照明をやったり。演劇みたいなアクティブな授業もありますけど、映画を見て感想を書いたりする授業もあります。
- 山本教授 
幅広いですよね。古典を読むところから、現代的な話をプレゼンテーションしたり、それを演劇の形でやってみたりとか。映画や広告に使われる英語をやったり。
- 中西さん
私は会話における英語を分析しています。スラングとか。私みたいに分析する人もいれば、翻訳する人もいるし、コミュニケーションの勉強をする人もいます。意味を考える人もいるし、シェイクスピア作品だけをやるっていう人もいて。本当にいろんな分野がありますね。
- 山本教授
足球彩票のフィールドワークはどんな感じですか?
- 深谷さん
美術館によく行きますね。先生といっしょに研修旅行にも行きます。少人数でスペインやポルトガルに行って、先生の説明を聞きながらキリスト教の建築物や美術館の絵を見たり。
- 山本教授
本物に触れることができるっていうのは恵まれているよね。
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- 深谷さん
そうですね。たとえば絵画でいうと、画集ではスケール感とかわからないので、実物を見ることは貴重な経験です。私たちの場合は海外に行くといっても必ずしも語学の勉強ではなくて、文化全体を感じる勉強。その体験をしっかり持ち帰ってレポートにまとめることが多いです。
- 山下さん 
地球市民学科は必修科目からフィールドワークがあります。私は外国人労働者にインタビューしました。中華料理屋やタイ料理屋に行って困っていることを聞いて、どうすれば解決できるかをみんなで話し合ってまとめて、それをプレゼンテーションするんです。そして、みんなでその問題について議論するのが地民のフィールドワークです。実際にフィールドに行ったりそれを体験してみないと、リアルな問題ってなかなかわからないですね。
- 山本教授 
このメンバーで取り組んだPBL 活動もフィールドワークのひとつですね。みんなは「南九州カレッジ※」に参加したわけですが、それはどうでしたか?
※南九州カレッジ:熊本県、宮崎県、鹿児島県とJR 西日本が実施しているPBL 活動。南九州三県への個人旅行促進を目的としたPR プランを大学生が提案する。
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- 中西さん
本当にすべてが新鮮でした。机に座って勉強するのでなく、鹿児島県いちき串木野市まで行って、現地の人とお話したり、その土地の食事や温泉を体験したり。そうやって現地のことを勉強して、それを発信して。それを大学外の人に発表することも新鮮でした。
- 山本教授
日本を代表する旅行会社の幹部の方々がプレゼンを聞いてくれて、評価とコメントをくれたんだよね。
- 中西さん 
そうなんです。旅行会社の人が来て緊張もあったけど、自分たちが楽しいと感じたことや、こういう観光素材がありますよっていうのも直接伝えられました。
- 山下さん 
私たちの学びが実際の経済につながるなんて、と思いましたね。高校までの勉強では、私がいくら英単語覚えても、それに対して誰かがお金を払うわけではないですよね。私たちの提案が、もしかすると旅行会社の人に採用されて、それを買う人がいるかもって考えるとすごい壮大で。どこまででも想像が広がります。
- 山本教授 
「南九州カレッジ」には、いろんな大学が参加していましたよね。みんなは文学部だけど、他の大学は経営学部だったり観光学科だったり。そういうところに、なにか差は感じましたか?
- 山下さん 
他の大学の発表を見て、分析の仕方とかすごい勉強になりました。学校の中で考えているだけでは絶対に思い浮かばなかったものにもいっぱい触れられましたね。だけど、そういうチームと張り合えたことが自信にもなりました。
- 山本教授 
ひとりの教員として興味があるのは、文学部のみんながどうやって今回のような舞台で活躍したのかっていうこと。文学部の勉強は、一般的には経済活動とは遠いところにあると思われていますよね。文学部で学んできたことの強みってどこにあったんだろう?
- 山下さん 
文献をたくさん読みました。それが文学部っぽいアプローチかもしれません。
- 深谷さん
あと、どうやったらうまく伝わるかをたくさん考えましたね。言葉の選び方とか順番とか。
- 山下さん 
日文らしい言葉のチョイスだったり、文化史らしい視覚的な表現だったり。文学部だからこその私たちらしい伝え方ができたと思います。
- 川口さん
地民らしいプレゼンテーションだったり。
- 中西さん 
それぞれの得意を活かして、欠点を補い合って。
- 山下さん 
みんなちがう学科だからこそのこのチームでしたね。自分の足りてないところを知ることもできたと思います。
- 川口さん
文学部は人間にいちばん近いっていうところが強みだったと思います。哲学もあるし美術史もあるし、文学部って幅広いですよね。人間のありとあらゆることを考えてるから、そういう面では強いと思います。
- 山下さん
もしかすると数値やデータよりも、人間としての感覚の方が響くことがあるのかも。
- 山本教授
文学部の学びって、やっぱり人間に向き合うっていうことなんですね。
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